歴史と文化のまち稲沢~矢合観音 臨済宗 妙心寺

民間信仰で賑わう「矢合の観音さん」

 

 いつも参拝客でにぎわっています。TVでもよく放送される有名な民間信仰のお寺です。本尊は十一面観世音菩薩で、江戸時代より、ここの井戸水は万病に効くという民間信仰があります。現在でも、参拝者は各自ビンやペットボトル等の容器を持参し、ここの井戸水を容器にいれ、この水と共に祈祷を受けます。祈祷を受けた水を持ち帰り、この水を患部に付けたり、飲んだりすることで効果があるといいます。門前町があり、飲食店、土産物店があります。
 一説には、安土桃山時代、現在の稲沢市片原一色町にあった一色城の城主である橋本道一(橋本伊賀守)の弟で、矢合城城主、橋本大膳が、この地に観音菩薩を祀ったのが始まりといわれています。矢合の昔話には、江戸時代後期の本郷村農民が祀ったという説もあります(矢合の昔話参照)

【矢合の昔話】

 江戸時代後期(1850年頃?)この近くに諸国巡礼をしている行者がとおり
かかった。夜になり、どこか泊まる場所を探していると、一軒の家にたどり
ついた。行者が「一晩泊めていただけませんか。」と頼むと、この家の主人
は、行者のみすぼらしい姿を見るなり戸を閉め、追い払ってしまった。行者
はその行動に対し、「やがてこの家は滅びるだろう。」と嘆いた。
 行者は本郷村(現在の稲沢市矢合町?)の一軒の家にたどりつき、「一晩
泊めていただけませんか。」と頼んだ。この家の主人は心の広い人で、「た
いしたもてなしは出来ませんが、どうぞ。」と、行者を招きいれた。 あくる
日、行者はお礼を述べ、再び巡礼に向かった。主人がふと見ると、小さな小
箱が部屋に置かれてあるのに気づいた。小箱を開けると、小さな観音像があ
った。主人は「あの方は高貴な方に違いない。」と思い、この観音像をおまつ
りした。この観音像が矢合観音の始まりだという。 行者の頼みを断った家
は、やがて不幸が重なり、とうとう滅びてしまったという。