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「ゆうこくに」『あ・ほうかい』8号所収の詩です。
ゆうこくに
橋本正秀
のしかかりおしつぶしじわじわじりじりしみこみ
うすく広くおりよどむどんよりおもいそんざいのふざい
みえないじつとみきたいのしれないおそれおののき
さいはてうかぶもくずのやまかげひとつみをこがしうつのぞみ
ひらひらまいみだれもだえるみぎわのもうそうやまのへのらくじつ
縦横におし広げ拡散する
意識されざるパワーの不断の全開
有史以前からのパフォーマンス
無言劇
虚言に裏付けられた
反吐の浸潤
天空で舞い立ち狂い咲く卑小のロンド
重力に引きづりおろされ
地に這う無責任と悪意
弧瀟のカワラ
空かける鳥獣
かける意思のありや
ただ劫の飛翔
あきらかな欲望と跳梁
眺めるは有隣の悠久
うまぬ旅立ち
有限の時の夢に在る
西の山際はじまりの羽ばたき
老僧の背中と評論家の顔して不在の川面を凝視する
みのもおとひびくさきのじくじうつわらわのしらべたかおもんがく
のしかかりおしつぶしじわりじわありうちつづくはてかみのしらべ